人生の「もしも」を支える❗️障害年金の受給要件や年金額について

公的年金

年金といえば老後に支給される「老齢年金」のイメージがありますが、国民年金や厚生年金保険の被保険者が病気やけがで仕事ができなくなったときには、「障害年金」が支給されます。

障害年金には、国民年金から支給される「障害基礎年金」と厚生年金から支給される「障害厚生年金」の2種類あり、障害の原因となった病気やケガのため始めて医療機関に受診した「初診日」に加入していた年金制度によって、受給できる障害年金が違ってきます。
なお、障害基礎年金は障害等級2級以上、厚生年金は障害等級が3級以上の人が支給対象です。

今回は、人生の「もしも」を支える「障害年金」について、まとめてみます。

障害年金とは

国民年金は障害等級が2級以上、厚生年金は3級以上が支給対象
日本は、国民皆年金制度により20歳以上60歳未満のすべての国民が、公的年金への加入を義務づけられています。
公的年金には、自営業やフリーランス、主婦などが加入する「国民年金」とサラリーマンが加入する「厚生年金」の2種類があります。

国民年金の被保険者の障害の状態が障害等級2級以上に該当したときには「障害基礎年金」が支給されます。

厚生年金の被保険者は障害等級3級以上で「障害厚生年金」が支給され、障害等級2級以上に該当していれば、障害基礎年金もあわせて支給されます。

障害基礎年金(国民年金)

20歳前と60歳以上65歳未満も支給対象
障害の原因となった病気やけが(傷病)の初診日が、国民年金の被保険者期間中であり、保険料の納付要件などを満たしている場合には、障害基礎年金を受給することができます。
なお、いままで「自己判断」で保険料を未納としていた人は、ケガをした日(初診日)に慌てて保険料を納めても、保険料納付要件が満たせないので、注意が必要です。

国民年金の被保険者となる前(20歳未満)や、被保険者資格を失った後(60歳以上65歳未満)でも、支給の対象になります。

障害基礎年金の支給要件

① 障害の原因となった病気やケガの初診日が次のいずれかの間にあること
・国民年金の加入期間
20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間
② 障害の状態が、障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に、障害等級表に定める1級または2級に該当していること
③ 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること
ただし、初診日か令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと

障害認定日とは、原則、障害の原因となった傷病の初診日から1年6ヶ月を経過した日をいいますが、1年6ヶ月以内にその傷病が治った(症状が固定した)場合は、その日をいいます。

初診日が20歳前の人は、20歳に達したとき、また、初診日が20歳以降の人は初診日から1年6か月経過したとき、または、65歳になるまでの間に障害等級2級以上の状態(「事後重症」)になったときに支給されます。

障害厚生年金(厚生年金)

障害等級3級以上で支給対象
厚生年金の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけが(傷病)の初診日がある場合で、障害等級が3級以上である場合が支給対象です。

厚生年金の被保険者は、給料から保険料を源泉徴収されているため、多くのケースでは保険料納付要件は満たせていると考えられます。
なお、障害厚生年金の受給者が60歳未満で退職した場合、退職後は国民年金に加入しなければなりません。

障害等級が2級以上である場合の保険料は免除になります。

障害手当金(厚生年金)

厚生年金の被保険者である間に、障害の原因となった傷病の初診日がある場合に一時金として支給されます。

障害の原因となった傷病の初診日から5年以内に治り(症状固定)、その治った日において、障害等級3級にはいたらないが厚生年金法施行令別表第2程度の状態である場合に支給されます。


障害年金の支給額はいくらなの?

障害年金の額は、「初診日」において加入していた年金制度の種類や障害の程度、配偶者の有無や子どもの数などによって異なります。

障害基礎年金の年間支給額(令和3年度)は、1級障害は976,125円、2級障害は780,900円で、18歳到達年度末日の間にある子(または障害の状態にある20歳未満の子)がいる場合は、その人数に応じて一定額(子ども2人までは1人につき224,700円、3人目以降は1人につき74,900円)が加算されます。

障害厚生年金の年金額は、厚生年金加入期間中の標準報酬額と加入期間で算出されます。「障害認定日の月までの給料の平均値に一定の乗率を掛けたもの×厚生年金加入月数(300月に満たなければ300)」です。

具体的には、
【2003(平成15)年3月以前】
平均給与額(千円)×7.125×平成15年4月までの加入月数
平均給与額には賞与を含めない「月給」が目安となります。
【2003(平成15)年4月以降】
平均給与額(千円)×5.481×平成15年4月以降の加入月数
平均給与額には賞与を含んだ「年平均の給与額」となります。

1級は報酬比例の年金額の1.25倍、2級は報酬比例の年金額が、障害厚生年金として支給されます。また、65歳未満の配偶者がいる場合は、224,700円が加算されて支給されます。

障害基礎年金、障害厚生年金、障害手当金の額は、物価や賃金などの変動に応じて、毎年見直しが行われ、支給額に反映されます。

支給される障害年金の額(年額)※令和3年度
政府広報オンライン「障害年金の制度をご存知ですか?がんや糖尿病などの内疾患の方も対象です」より

なお、障害年金は、非課税所得です。収入が障害年金だけの場合は、確定申告を行う必要はありません。

老齢年金の「繰上げ」を考えている人は注意!

事後重症は65歳まで請求可能
「事後重症」とは、障害年金は「初診日」から1年6カ月を経過した「障害認定日」に障害等級1〜2級(障害厚生年金は3級まで)に該当しなかったが、その後(65歳まで請求可能)に症状が悪化し、障害等級に該当することをいいます。

しかし、65歳前に老齢年金を受け取ることができる繰上げ請求をした日以後は、事後重症による障害年金を請求することができません。障害治療中の病気や持病がある方が、繰上げ請求を行う時は、注意してください。

なお、「繰上げ請求」については、以下を参考にしてください。
【参考】:老後の安心❗️繰上げ・繰下げルールが改正/失敗しない老齢年金の受取り方について

まとめ(よくある疑問)

障害年金は働きながら受給できるの⁈

精神・神経疾患や難病などの内科的疾患で障害等級2級以上に該当している人が仕事をすると、障害等級が変わる場合があるかもしれません。
障害年金2級以上に該当する要件が、「日常生活の著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えること」となっているため、就労状況によっては支給停止となる可能性があります。

なお、障害等級に該当する障害が、検査の数値で判断される外部疾患である場合、ほとんど問題はありません。

20歳前傷病による障害基礎年金には所得制限あり

20歳前傷病による障害基礎年金の受給者には、所得制限があります。
前年度の所得が一定額を超えると1/2相当額が支給停止に、さらに一定額が超えた場合は、全額が支給停止となります。
この一定額は、本人の所得額や扶養親族の数によって変わってきます。

なお、障害厚生年金や20歳以降に支給される障害基礎年金には、支給制限がありません。

要請があった場合は「診断書」の提出が必要

障害年金を受給している人は、障害の状態ににより1〜5年ごとに日本年金機構より、障害の状態を確認するため「障害状態確認届(診断書)」が届きます。
医師に記載してもらい、提出期限(誕生月の末日)までに提出してする必要があります。

日本年金機構では、障害状態確認届の審査を行い、障害の程度が前回の認定時より重くなり、上位等級に該当する場合は、提出期限の翌月分から年金額が増額改定されます。

また、障害の程度が前回の認定時より軽くなり、下位等級に該当する場合は、提出期限の4カ月後の年金額から減額改定または支給停止となります。

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ミスター長男50

【プロフィール】

1969年(昭和44年)生まれ
富山県で生まれ、今は千葉県民
・仕事は病院事務(管理職)
・社会保険労務士
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)
「仕事」や「お金」に関する法改正や、(定年)退職後や資産形成に関する疑問などを分かりやすくまとめ、発信していきます。

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