65歳まで働いた後でも、失業手当はもらえるのか?

労働保険

定年退職が近づくと、心配なのが定年後の「お金」のこと。会社を辞めても生活は続くのだから、当然です。

退職時の年齢が「65歳未満」の定年退職ならば、雇用保険の失業手当(基本手当)を受け取ることができます。なお、「65歳以上」であれば「基本手当」ではなく「高齢者求職者給付金」が支給されることになります。
また、60歳以上で定年退職した人が引き続き働く場合は「高年齢雇用継続給付」を受給することができます。

今回は、60歳以上で定年退職した人が利用できる「雇用保険」について、まとめてみます。

65歳未満の定年退職者は「失業手当」が受け取れる

失業(基本)手当が受取れるのは65歳未満の失業者
基本手当は、会社に雇用され離職した65歳未満の人に対して支払われる手当であり、定年退職者も含みます。定年退職した年齢が65歳未満の場合は、一般の離職者に該当し被保険者期間に応じて90日~150日の基本手当を受給することができます。

被保険者期間10年未満10年以上20年未満20年以上
所定給付日数90日120日150日

支給日数は90日〜150日で在職した年数によって違いがあります。また、受給期間は離職日の翌日から1年間です。

ここで注意⚠️です!
原則として4週間に1度、ハローワークが定める日に失業認定を受ける必要があります。
基本手当は、働く意思のない人は受給できません

・失業中であり、再就職の意思があること
・雇用保険の被保険者期間が、離職の日以前2年間で通算して12ヶ月以上あること
・4週に一度、ハローワークで失業認定を受けること

65歳未満の定年退職者は、受給期間を延長することができる

基本手当の受給期間は1年間です。この1年のうちに全額を受け取らなければなりません。
仮に給付日数が残っていても受給期間を超えてしまえば、残りの基本手当を受け取ることはできません。

しかし、60歳で定年した後にしばらくしてから再就職をしようと考えている人は、離職の翌日から2ヶ月以内にハローワークで手続きを行えば、受給期間を最長で1年延長することができます。

65歳以上は「高齢者求職者給付金」を受けられる

受給額は少なくなるが、制約が少ない制度
65歳以上の雇用保険被保険者は、基本手当に変わり、高齢者求職者給付金を受け取ることができます。高齢者求職者給付金は、支給日数が30日〜50日と短いですが、基本手当のように4週に一度の失業認定がなく一時金で受け取ることができます。

また、老齢年金を受け取っている人であっても受給でき、減額されることもありません。

ここでも注意⚠️です!
65歳未満の人が受ける「基本手当」と「特別支給の老齢年金(特老厚)」は同時に受給することができません。
ハローワークで「求職の申込み」を行った日の属する月の翌月から、基本手当の受給日数が終了する日の属する月まで、特老厚は全額支給停止されます。

被保険者であった期間高年齢求職者給付金の額
1年以上50日分
1年未満30日分

・65歳以上で退職していること
・就職の意思があるが失業中であること
・被保険者期間が、離職の日以前1年間で通算6ヶ月以上あること
一時金として支給されること
老齢年金は減額されない

60歳以降も会社で働く人には、「高年齢雇用継続給付金」

高年齢雇用継続給付金には2種類ある
「高年齢雇用継続基本給付金」は、被保険者が60歳に到達した月から65歳に達する月まで受給することができます。

「60歳で定年退職」になったあとでも、多くの会社では労働者が希望すれば65歳まで雇用を続けることを法律で定められていますが、働き方が変わるなどの理由で「現役」時代と比べ給料が低下する場合が多くあります。

高年齢雇用継続給付には、この低下した賃金をサポートする仕組みとして「高年齢再就職給付金」「高年齢雇用継続基本給付金」の2種類があります。

高年齢再就職給付金

被保険者が60歳に到達した月から65歳に達する月まで、60歳以降に基本手当を受けて再就職した以下の人が対象です。

支給残日数が100日以上
・以前の勤務先の賃金の75%未満に低下した人

受給額は、最高で再就職先の賃金月額の15%
受給期間は、支給残日数が100日以上200日未満で1年間、200日以上で2年間です。

高年齢雇用継続基本給付金

60歳以上65歳未満で雇用保険の一般被保険者で、以下の人が対象となります。

・雇用保険の被保険者期間が5年以上
・基本手当を受給していない人
・60歳以降の賃金額が75%未満に低下した人

受給額は、最高で60歳以降の賃金額の15%
受給期間は、対象となった月(60歳以降)から、65歳の誕生月まで(最長で5年間)です。

ここで注意⚠️です!

特老厚など65歳までに老齢年金を受けている人が、「高年齢再就職給付金」や「高年齢雇用継続給付」を受ける場合には、 最高で標準報酬月額の6%に相当する年金が支給停止されます。

なお、「特別支給の老齢厚生年金(特老厚)」など65歳までに老齢年金を受けている人が、「高年齢再就職給付金」や「高年齢雇用継続給付」を受ける場合には、 最高で標準報酬月額の6%に相当する年金が支給停止されます。

参考:年金をもらいながら働くと「働き損」なの?知っておきたい「在職老齢年金」のこと

まとめ

高年齢雇用継続給付は段階的に縮小される

高年齢雇用継続給付は、2025(令和7)年度に60歳となる人の最大給付率が15%から10%に縮小され、それ以降、段階的に廃止されることになります。この給付率の縮小は、65歳までの継続雇用の体制が概ね整ったことや、「同一労働同一賃金」の法制化が背景にあると言われています。

参考:働き方改革❗️「同一労働・同一賃金」でパートや有期雇用労働者の何が変わるのか

私たちにできることは、定年後の選択肢を「会社に雇用される」の一択にすることなく、能力を磨き経験を積むことで70歳まで就労するという、新たなライフプランを描くことが大切です。

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