春は「転勤」の季節!会社が行う税金や社会保険の手続きの話

健康保険

春は人事異動のトップシーズンです!
会社は、転勤に伴って発生する「書類などのやり取り」で、とても神経を使う季節でもあります。

従業員の転勤に伴って、手続きが必要な住民税は、その年の1月1日時点で「住民票」がある市区町村に納めることになっているので、移動者の「給与所得者異動届出書」を引っ越し先の市区町村へ提出。
また、雇用保険社会保険(健康保険・厚生年金保険)も、同じ会社であっても勤務している支店(事業所)が変われば、転勤前の事業所での被保険者資格を喪失させてから転勤先の事業所で被保険者の資格を取得する必要があります。

今回は、従業員の転勤に伴って会社が「住民税」「雇用保険」「社会保険」の手続きについてまとめてみます。

住民税の手続き

住民税とは、住んでいる都道府県に納める「都道府県民税」と市区町村に収める「市区町村民税」の2つの税を合計したものです。

毎年1月1日~12月31日の1年間の所得に対して課税されますが、実際に納めるのは翌年の6月からという「後払い方式」になっています。
そのため、1月2日に引越しをした場合はそのまま旧住所の自治体へ住民税を払うことになり、新住所の市区町村に住民税を支払い始めるのは翌年6月からとなります。

サラリーマンの住民税の納付方法は、ほとんどの場合が「給料からの天引き(特別徴収)」によって会社から納付されています。
転勤先でも引き続き「特別徴収」で住民税を納める場合は、転勤前の勤務先で「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を記入し、転勤先に送付。転勤先で「転勤(転職)等による特別徴収届出書」欄を記入し市区町村へ提出すれば、新しい勤務先でも住民税が給与から天引きされます。

なお、住民票を移動していない従業員が転勤の場合も、特別徴収を続けるため同様の手続きが必要です。

「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書の提出期限は、従業員が転勤した月の翌月10日です。

従業員が退職した場合の住民税の取り扱い

住民税は、6月から「その年」徴収が始まるため、従業員が退職した時期によって納付方法が異なります。

住民税の納付方法には、「特別徴収」「普通徴収」の2種類があります。「特別徴収」は給与からの天引きされ会社が納税する方法、「普通徴収」は自営業者や退職者などが自分で納税する方法です。

1月1日~5月31日に退職した場合
その年度の残りの住民税は、最後に支払われる給与から一括で徴収します。一括徴収される住民税の額が、給与よりも多い場合は、普通徴収に切り替えられ、退職者自らで市区町村に納付することになります。

6月1日~12月31日に退職した場合
退職月の住民税までは給与から天引きで納付されますが、残りの住民税は普通徴収となり、市区町村から納税通知書が送られてきます。

雇用保険・社会保険の手続き

雇用保険は10日以内、社会保険は5日以内
例えば、同じ会社の本社→支店の転勤であっても、それぞれが一つの事業所として独立している場合、その支店は「株式会社〇〇 △△支店」として事業所登録が行われているため、本社は支店に対し被保険者資格を移す手続きを行う必要があります。

なお、転勤とは、勤務地(配属先)が変更となる異動のことです。期間が限定されている出張や工事現場などでの作業の場合は、転勤には当たらないので手続きは必要ありません。

雇用保険被保険者転勤届
→ 転勤の日の翌日から10日以内に転勤先のハローワークへ

健康保険・厚生年金保険資格喪失届
→ 転勤の日の翌日から5日以内に転勤前の年金事務所(または健康保険組合)へ
健康保険・雇用保険資格取得届
→ 転勤の日の翌日から5日以内に転勤先の年金事務所(または健康保険組合)へ
※転勤の場合、資格喪失日と資格取得日は同じ日になります。

転勤者に扶養家族が場合の手続き(社会保険)

転勤する従業員に被扶養者がいる場合は、「健康保険被扶養者(異動)届」の提出が必要となります。
この書類は、従業員の結婚、配偶者や子供の出生・就職・死亡などにより、健康保険や厚生年金保険に加入する従業員の被扶養者として追加・削除・氏名変更などがあった場合に届け出る書類です。

転勤に伴って勤務先が移動する場合でも、一旦全員の資格を喪失させてから取得させる必要があるため、管轄の年金事務所や健康保険組合へ勤務先を経由して提出することになります。

また、転勤する従業員の配偶者が国民年金の第3号被保険者に該当する場合は、転勤後14日以内に転出先の年金事務所に「国民年金第3号被保険者住所変更届」を提出する必要があります。

健康保険被扶養者(異動)届
→転勤の翌日から5日以内に転勤先の年金事務所(または健康保険組合)へ
国民年金第3号被保険者住所変更届
→転勤の翌日から14日以内に転勤先の年金事務所へ

 なおこの届出は、「事業所非該当承認申請書」を提出して職安の承認を受けたことにより、転勤先と転出元が1つの事業場とみなされる場合には、提出の必要はありません。

まとめ

2020(令和2)年4月1日以降、国民年金第3号被保険者の認定要件に、これまでの生計維持に加え、日本国内の居住(日本国内に住所を有すること)が追加されました。
そのため、国民年金第3号被保険者が海外転出または国内転入する場合は、配偶者(国民年金第2号被保険者)の勤務先に届出を行ってください。

また、第3号被保険者が60歳未満の場合で、「配偶者の退職」「本人のパート等収入が年 130 万円以上」「離婚」などの 理由で被扶養配偶者でなくなると、国民年金第1号被保険者となります。
その場合は、自分で市区町村の窓口で手続が必要になります。

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ミスター長男50

【プロフィール】

1969年(昭和44年)生まれ
富山県で生まれ、今は千葉県民
・仕事は病院事務(管理職)
・社会保険労務士
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)
「仕事」や「お金」に関する法改正や、(定年)退職後や資産形成に関する疑問などを分かりやすくまとめ、発信していきます。

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