定年後に備えて、少しづつでもお金を貯蓄に回さなければ…
分かってはいるけど、物価は上がる、子育てや住宅ローン、スマホなどの新しい生活必需品の登場などで支出がかさみ、さらには給料は上がらない…
がんばって日々節約しお金を貯蓄に回そうと思っても、そうは続かないものです。
家計の見直しは、一度見直すと節約効果が続く固定費を見直すのが効果的。
変動費とは、食費や光熱水費、子どもの成長にあわせて増える子育て費用など日々の生活や選択によって生じる費用をいい、固定費とは日々の生活に関係なく毎月決まった金額を支払っている費用、民間保険の保険料や住宅ローンなどのことをいいます。
変動費の削減で成果をだそうにも、物価の高騰や子供の成長などによって必要となる金額が変動するため、「日々の努力」を重ねて節約しても効果が長続きせずストレスが溜まります。
今回は、ストレスが少く効果的に家計の見直しができる、固定費の削減についてまとめてみます。
見直すべき「固定費」とは
「あっ」という間に無くなる、毎月の給料。使ったお金の「行き先」を大別してみると、固定費と変動費のに分けることができます。
貯蓄にまわすお金を作りだすには、削減効果が長く続く「固定費」を見直すのがオススメです。その固定費のなかでも特に見直したいのが「生命保険」や「損害保険」の保険料と「住宅にかかる費用」です。
これら固定費は金額が大きく、コスト削減が成功すれば削減効果は長く続くので、安定してお金を貯蓄にまわすことができます。
また、削減しても日常生活に影響することも少ないのでストレスも感じにくいからです。
① 生命保険を見直す
民間会社の生命保険に加入するメリットは、支払う保険料より大きな額の保険金を受け取ることができるので「万が一」のときに遺族のためにまとまったお金を残せるところにあります。
特に、将来まとまったお金が必要となる子育て家族などには、非常に意味なある保険です。
しかし、50代となり定年が近づいている人や子どもが独立してしまった人の必要保障額は、現状に見合わなくなっている場合があるので、チェックしてみましょう。
多くの場合、「死亡保障」を少なくできる可能性があります。
必要な保障額は現状に見合っているか
死亡保険で確保しておきたい必要保障額は、「遺族の支出」から「遺族の収入」を差し引いた額です。
「遺族の支出」とは残された家族のこれからの居住費や生活費、教育資金など、「遺族の収入」とは残された家族の給料や遺族年金などです。
参考:人生の「もしも」を支える❗️遺族年金の支給要件や年金額について
必要保障額は、自分が守るべき人は誰なのか、その人は遺族年金をいくらもらえるのか、自分の貯蓄額はいくらかなのかなどによって、同じ子育て世帯でもそれぞれで異なります。
「いくら必要なのか」をよく確認し、必要な保障と加入している保障にズレがある場合は、早期に見直しをしてみましょう。
見直しのポイントは、重複している保険を解約する、必要以上の保障の減額を検討すること。毎月支払っている保険料を減らせるかどうか、検討してみましょう。
①必要保障額を再考する
・必要保障額とは、「遺族支出ー遺族収入」の差額のこと
→重複した保障を解約したり、過大な保障を見直すことで、月々の保険料を減額
また、若いうちに年金保険や養老保険に加入したけれど、保険料を支払い続けるのが難しくなることもあります。すぐに解約したいけど、解約すると、それまでに払い込んだ保険料の一部しか戻ってこないことが多く悩ましいところです。
そんな場合は、それ以降の保険料の支払いを中止して保障金額を減額する「払済保険」や、同じく保険料の支払いを中止して保険期間を短縮する「延長保険」にするなどの対処方法が考えられます。
ただし、払済保険や延長保険にすると医療保険などの特約は消滅します。
特約を継続するためには別途、新たな保険に加入することもあるので、保険会社によく問い合わせてから実施してください。
加入している保険が解約しにくいときの見直し方
① 保障額を減額する→ 主契約や特約の保険金額を減らす(減額部分の解約返戻金は受け取れる)
② 払済保険にする→ 保険料の支払いを中止した時点での解約返戻金で保険料を一時払いにし、保障額を少なくする(保険期間を変えずに保険料負担をなくす)
③ 延長保険にする→ 保険料の死針を注した時点での解約返戻金で保険料を一時払いにし、保障される期間を短くする(保険期間は短くなるが保障額はそのまま)
さらに、加入している保険自体を見直すことも大切です。
たとえば、更新型の定期保険(生命保険)は、若い頃の保険料は安く設定されていますが「契約から10年」など一定の保険期間が経過するたびに更新が必要、保険料は更新のたびに上がっていきます。
更新型の定期保険は、「万が一」のときには契約した死亡保障額が支払われますが、子どもが成長すると契約時の保障額が過大になっていることが多くあります。
見直しを行う際には、年齢によって保障額が「右肩下がり」となることで保険料を低く設定している収入保障保険を選択するのがいいでしょう。
参考:人生の「もしも」に備える❗️2タイプの死亡保険の特徴と選ぶ時のポイントについて
② 損害保険(自動車保険)を見直す
自動車を持っている人は、自動車保険の「任意保険」を見直してみましょう。
任意保険には、代理店の担当者を通して加入する「代理店型」とインターネットや電話を通して加入する「通販型(ダイレクト型)」の2種類あり、保険料は通販型の方が安くなるのが一般的です。
また、自動車保険は、保障内容を見直したり、運転者の年齢条件や範囲を見直したり、車両保険の契約タイプや免責金額を見直したりすることで、保険料を削減することができます。
面倒くさがらず、複数の保険会社から見積もりを取って比較しましょう。
参考:人生の「もしも」に備える❗️自賠責保険と自動車保険(任意保険)の役割と違いについて
自動車保険の見直すときの注意点は、保険料の節約を優先しすぎて補償不足にならないこと。万が一の時に必要な補償を受けられる見直しをすることが大切です。
③住宅にかかる費用を見直す
住宅にかかる費用については、「住宅ローンを組んでいる場合」と「家賃を支払っている場合」に分けて考えてみます。
住宅ローンを組んでいる場合
超低金利政策が続いているため、住宅ローンの金利は、低水準で推移しています。
2016(平成28)年1月、日本銀行金融政策決定会合において、日本の歴史上初めてマイナス金利政策が導入されました。
この政策により、住宅ローン金利が過去最低水準となったため、恩恵を受けている人も多いと思われます。
参考:どうなる金利⁉️「変動型」の住宅ローンは、「固定型」に借換えるべきか?
しかし、その恩恵をうける前に住宅ローンを組んでいる家庭は、住宅ローンの借り換えを検討してみると良いでしょう。
借り換えをする目的は、金利の負担を軽減し利息を減らすと。借り換えの目安は、次のとおりです。
・住宅ローンの残高が1,000万円以上残っていること
・返済期間が10年以上残っていること
・借り換え前後の金利差が1%以上あること
しかし、住宅ローンの借り換えには、50〜100万円程度の諸費用がかかります。
各金融機関によってその費用は異なるため、金融機関の窓口で借り換えにかかる諸費用も含めて、毎月の返済額や利息の軽減を試算してもらいましょう。
また、住宅ローンなどの元金の一部または全部を当初の予定よりも前倒しで返済する「繰上げ返済」を行うと、前倒しで返済した元金部分に対応する金利を支払わなくて済みます。
繰上げ返済には、毎月の返済金額を変えずに返済期間を短くする「期間短縮型」と、毎月の返済金額を少なくする「返済額軽減型」(返済期間はそのまま)があります。
住宅ローンの支払いの総額を下げたいなら、期間短縮型を選択した方が効果的です。
なお、退職金を元手として繰上げ返済をする場合には、今後の生活と手元資金のバランスを考える必要があります。
住宅ローンは、あらゆるローンの中でも「低金利」な貸付けです。
いくら得をするといっても、無理に繰上げ返済をすると手元資金が足りなくなり、他から借り入れを行うと事態になれば本末転倒です。
家賃を払ったいる場合
家賃を払っている場合は、家賃交渉か引越しによるコスト削減を検討してみましょう。
近隣よりも家賃が高い場合や隣地にマンションが建つなどして生活環境の悪化が見られたときなどは、家賃の引き下げ交渉をしてみましょう。
また、「子どもが独立した」など、引っ越すハードルが低くなったと感じれるならば、思い切って今よりも家賃の安い物件に引っ越しをすることも、選択肢の一つです。
「スマホ代」の見直しも効果的
大手携帯電話会社を利用してスマホを契約している家庭では、毎月のスマートフォン代として7,000〜8,000円が固定費として支出されています。
この契約を、格安スマホや格安SIMに変えるだけで、通信費の大幅なコスト削減が期待できます。
格安SIMに切り替えることができれば、1ヶ月あたりの利用料を3,000円以上削減できる場合もあります。
格安SIMにしない場合でも、インターネットとの併用割引が利用できないか、現在の加入プランに無駄がないか、不要なオプションがついていないか、通話オプションは適切かなど確認してみましょう。
4人家族で全員がスマートフォンを持っている場合、1人3,000円削減できれば1ヶ月12,000円削減できるので、見直す価値は十分にあります。
老後2000万円問題の解決も固定費削減から!
生活収支を改善は固定費の見直しから!
定年退職後は、65歳以降に受け取れる年金の範囲で生活することが求められます。
参考:老後の安心❗️「ねんきん定期便」の見方や「繰上げ・繰下げ」など年金の増やし方について
総務省の「家計調査報告(家計収支編)2021年平均結果」によると、年金暮らしである65歳以上の夫婦のみ(夫婦高齢者無職世帯)の実収入は236,536円(うち年金などの社会保障給付が91.5%)、実支出は255,100円と月18,525円の赤字です。
うち、非消費支出 30,664円(税金や社会保険料)を差し引いた生活に直結した「消費支出」は224,436円。
(非消費支出) | ー | (30,664円) |
食料 | 29.3% | 66,000円 |
住居 | 7.4% | 17,000円 |
光熱・水道 | 8.7% | 20,000円 |
家具・ 家事用品 | 4.6% | 10,000円 |
被服及び履物 | 2.2% | 5,000円 |
保健医療費 | 7.2% | 16,000円 |
交通・通信 | 11.2% | 25,000円 |
教養娯楽 | 8.6% | 19,000円 |
その他 (交際費含む) | 20.7% | 46,000円 |
合計 | 100% | 224,000円 |
消費支出の主な内訳は、食費が66,000円、交通・通信費が25,000円、水道光熱費が20,000円、住居費が17,000円など。
「食費が高額すぎ!」「住宅費が少なすぎる」気もしますが、これはあくまでも平均です。
年金暮らしの目安とし、自分の消費支出額に置き換えて考えるといいでしょう。
月18,525円の赤字を賄うためにも、早くから固定費を見直し貯蓄に回しておきたいものです。
定年後は、必ずしもバラ色とはかぎりません。
特に、古い医療保険やがん保険は、入院期間が短くなっている今の医療には合っていない可能性が高いので、見直しをおすすめします。
参考:人生の「もしも」に備える❗️「がん保険」は本当に必要か?加入を検討すべき人について
まとめ
医療保険は本当に必要か?
子供が自立した後は、生命保険の見直しをする絶好のチャンス!
「重複している保障はないか」、「必要な保障だけに絞り込めているか」などを見極め、内容が状況にそぐわないと思ったら、すぐ解約を検討しましょう。
現在の急性期病院の入院期間の平均は、12~13日。「保障内容が入院1日につき○万円という古い医療保険は、本当に必要なのか?」見直すチャンスです。
定年が直前に迫った40〜50代からの備えは特に重要です。
参考:わたしの老後の年金って「いつから」、「いくら」もらえるの?
サラリーマンであれば、長く働き厚生年金に加入する。自営業者やフリーランスなら免除期間分の保険料を追納する、国民年金基金や付加年金に加入する。
さらに、削減した固定費はiDeCo(イデコ)やNISA(ニーサ)で運用するなど、早くから老後の備えを始めましょう。
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