誰しも第一志望の会社から内定の連絡がきたら、「入社します!」と即答してしまいますよね。でも、そこはまず落ち着いて!
まずは「労働条件」をしっかり確認しましょう。
「入社します!」は「内定を承諾」をするということ。つまり、雇用契約を結ぶことになり、両者に法的拘束力が生じるからです。
「どうせ入社するつもりだから問題ない」と思われるかもしれませんが、ここが労働条件を確認するラストチャンス!
募集時とは「異なった労働条件」や「聞いてなかった労働条件」が追加されていないか、「労働条件通知書」をしっかり確認し、納得して入社すべきです。
採用内定とは
「内定」とは、会社が応募者に雇用する意思を伝え、応募者が承諾した場合に成立(口頭でもOK)します。実際には、会社側から「内定通知書」が交付され、応募者が誓約書を提出するのが一般的です。
誓約書を提出すると、雇用契約が成立します。内定は、「入社の予約」ではありません。
内定の時点で、すでに労使関係が成立しています。
内定とは「雇用契約は成立しているけど、まだ働く義務のない状態」のことをいいます。
「労働契約」、「労働条件」、「労働条件通知書」について
労働条件通知書は、特に重要な労働条件を示した書類(紙)のことで、「内定通知書」と同じタイミングで送られることが多いようです。
2019(平成31)年4月以降は「紙」だけではなく、メールやPDFなどの電磁的方法による労働条件通知書の交付も可能となっています。
労働契約とは
口約束で成立
労働契約は、①労働者が使用者(会社)に使用されて労働すること、②使用者がこれに応じて賃金を支払うこと、について、当事者同士が合意すれば成立します。
この成立条件に「(雇用)契約書」が必要かどうか、というと、書面は「不要」となります。原則として口約束だけで契約は成立します。
この時、労働条件を確認しないまま合意してしまうと、入社した後に「こんなはずじゃなかった…」という事態に陥ってしまいます。
労働条件とは
労働条件とは、働く条件を会社と労働者の間で具体的に取り決めた、労働者にとって大事なものです
なお、「採用時」の労働条件はひとり一人違います。そのため、「募集時」の労働条件と同じとは限らないので、注意が必要です。
労働条件通知書とは
労働基準法では書面による「労働条件」の通知が必要!
労働基準法では、入社後にトラブルがおきないよう、使用者は労働契約を結ぶときには、労働条件を明示することを義務づけられています。
特に重要な次の項目(昇給に関する事項は除く)については、口頭ではなく書面(労働条件通知書)で交付しなければなりません。
労働契約の期間に関する事項
→「正社員だと思っていたら有期契約だった」とならないよう、「契約期間」が「期間の定めなし」となっているか確認をしましょう。
就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
→複数の事業所がある企業の場合は、「勤務先」や「異動の有無」などを確認しましょう。
始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに交代制で就業させる場合の就業時転換に関する事項
→「週休2日制」は月に1回、2日休みの週があれば該当します。「完全週休2日制」も、土日が休みとは限りません(完全週休2日制(土日休み)が正解)。
賃金(退職手当及び臨時の賃金は除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
→「固定残業代」が含まれている場合があります。固定となっている残業代と時間が明示されているか、確認しましょう。
退職に関する事項(解雇の事由を含む)
→退職や解雇に関することで、退職金の計算方法は除きます。
労働条件が書かれた書面(労働条件通知書)は、内定通知書と同じタイミングで送られることが多いようですので、内容を確認・納得した上で会社に誓約書を提出しましょう。
労働条件通知書は会社が内定者(社員)に渡す書類であるのに対し、誓約書は内定者と会社の双方が「この内容に合意しました」と署名や捺印を取り交わすものです。
参考:働き方改革❗️「残業」の何が変わるのか/残業のルールと労働時間把握義務について
もし、「労働条件通知書」の内容に相違がある時は、言いにくいかもしれませんが、勇気を持って、企業側に申し出てないと、後戻りができなくなります。
変更に納得ができないなら、「内定を辞退」も考えるべきです。
「せっかくここまでたどり着いたのに…」と感じるでしょうが、そのような企業で働いても、良い結果は得られないでしょう。
仮に、働き始めた後に「明示されていた労働条件」と違う内容があった場合には、労働者は「約束どおりとするよう要求する」ことや、「そのことを理由としてすぐに契約を解除する」ことが、認められています。
もしも、内定が取消しとなった時の対応
会社の一方的な通知は原則無効
会社が、経営状況の悪化などを理由に採用内定を取り消す場合は、まず大前提として、最大限の経営努力を行う必要があります。
それでも、やむを得ず内定を取り消す必要がある場合、会社には以下のようなルールが定められています。
解雇権濫用法理
客観的に合理的な理由があり社会通念上相当でない限り、内定取り消しが無効となります。(労働契約法第16条)
解雇予告
内定取り消しの30日前に予告するか、不足する日数分の解雇予告手当を支払う必要があります。(労働基準法第20条)
退職時等の証明
労働者が求める場合には解雇理由を書面で通知しなければなりません。(労働基準法第22条)
まとめ
一方的に内定を取り消されたならば、すぐ「相談」
労働法は、労働者の権利を不当に侵害されることがないよう、労働者に有利なものとなっています。
会社の一方的な解雇には、厳しい制限かつけられています。これは内定を取り消す場合も同様です。
「内定」後にトラブルが発生した場合は、一人で悩まず、総合労働相談センターやハローワークなどで相談しましょう。
「泣き寝入り」する必要は、ありません。
なかには「やむを得ない」ケースもあると思いますが、「次の一歩」を歩き出すために納得できる対応を行いましょう。
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