2024年、企業型DCの拠出額が変更❗️運用は「安全優先」が正解なのか?

資産運用

岸田政権は「資産所得倍増プラン」の一環として、NISA(ニーサ)の拡充やDCの制度の見直しを行なっています。

2022(令和4年)年4月、企業型DCやiDeCo(イデコ)の受給開始の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられたほか、5月には加入可能年齢の見直しが行われ、企業型DCは最大で69歳まで、イデコは最大で64歳まで加入できるようになりました。

2022年10月には企業型DC加入者のイデコへの加入要件が緩和され、①掛金が各月拠出であること、②企業型DCの事業主掛金との合算が基準金額以内であること、③マッチング拠出を選択していないことの3条件を満たしていれば、規約に定めがなくても原則イデコに加入できるようになりました。

更に2024(令和6)年12月からは、企業型DC以外の企業年金に加入する人の企業型DCやイデコへの拠出限度額が引き上げられることになっています。

今回は、企業型DCのメリットと運用方法についてまとめてみます。

企業型確定拠出年金(企業型DC)とは

企業年金には「厚生年金基金」「確定給付企業年金」「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の3つの種類があります。企業年金は、厚生年金などの公的年金と違い法律によって導入することを強制されるものではないので、会社によっては制度がない場合もあります。

企業型DCとは、企業が拠出する掛金を従業員が運用を行い、定年退職を迎える60歳以降に積み立ててきた年金資産を一時金(退職金)、もしくは年金形式で受け取るという制度です。積み立てた年金資産は原則60歳まで引き出すことはできません。

重要なのは「掛金は企業が負担してくれるが、運用結果は従業員の自己責任である」ということ。運用成績によっては、将来受け取る退職金・年金の額がいままでの掛金に対し増えたり減ったりします。

将来受け取る退職金・年金の額を増やせるかどうかは、加入者の「運用手腕」にかかっていると言える制度です。

企業型DCの3つのお得とは

3つのお得な税制措置
企業型DCには3つの税制優遇措置があります。

1つ目は、企業型DCの運用で得た利益が全額非課税になること。
一般的な金融商品では運用益に対して約20%の税金がかかりますが、企業型DCで得た運用益は全額非課税になります。

2つ目は、60歳以降に積み立てた年金資産を一時金か年金のどちらかの形式で受け取っても税制優遇を受けられること。
一時金であれば「退職所得控除」、年金であれば「公的年金等控除」が受けられるので、税負担を軽減することができます。

3つ目は、マッチング拠出により従業員が拠出した掛金が所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されること。
マッチング拠出とは、会社が拠出する掛金に加えて、加入者が掛金を上乗せして拠出することです。

企業型DC「運用」の考え方

過度な「安全志向」は利益を生まない
投資とは、どんな人であっても「得」をすることもあれば「損」をすることもあるもの。
でも、人間は自分がよく理解していない事柄について「損をする可能性がある」と聞かされると、非常に警戒するものです。

例えばコインを投げて、
・表が出たら1万円もらえる
・裏が出たら何ももらえない
というリスクのないゲームへで参加者を募った場合、応募者は殺到するでしょう。このゲームの期待値は、1万円×1/2+0×1/2=5,000円になります。

では、
・表が出たら3万円もらえる
・裏が出たら1万円払う
というリスクのあるゲームでの期待値は、3万円×1/2+(-1万円)×1/2=1万円。しかし、いくらゲームの仕組みとしてはこちらの方が得だと説明したとしても、参加したいと思う人はかなり少なくなるでしょう。

人には、得をすることより損失を回避することを重視する傾向があり、これを「損失回避の法則」、または「プロスペクト理論」と呼びます。

企業型DCは、加入者の運用次第で年金資産が増えたり減ったりする制度。
そのために加入者には、「損失回避の法則」が働き「損すること」さけるため元本確保型の金融商品を選択しがちですが、元本が保証されている金融商品のリターンは少ないため、それだけでは大きな利益は望めません。

年齢による考え方

例えば、運用期間が30年以上ある20代は、株式型の金融商品を多めにするなど、ある程度リスクをとった運用をして大きなリターンを目指すことが可能です。

一般的に、資産を大きく増やすためには、20年から30年以上の運用期間が必要と言われています。企業型DCのような長期間の投資を行う場合では、一喜一憂することなく、20~30年以上を目安に考えると良いでしょう。

参考:50歳からでも遅くはない❗️つみたてNISAの「魅力」と「手数料(信託報酬)」の影響について

長期投資のメリットは、時間をかけて運用することで複利効果が得やすくなり、リスクとリターンも安定しやすくなるところです。

一方で運用できる時間が少なくなるということは、複利の効果が得られにくくなるということ。そうなると、「大きく増やすよりも、積み立てた資産を守ることに軸足を移していく」というふうに投資スタイル変える必要があります。

2024年から一部加入者の拠出限度額が引き上げ

企業型DCは利用しやすくなっている
高齢期の所得環境の充実を図ることを目的に、企業型DC制度は順次改正が行われ利用しやすくなっています。

2020(令和2)年10月には、中小企業向け制度である「中小事業主掛金納付制度(イデコプラス)」の適用対象を、従業員100人以下から300人以下の企業に拡大。
2022(令和4)年4月には、企業型DCやイデコの受給開始時期の上限が70歳から75歳に引き上げ。同年5月には企業型DCの加入可能年齢が最大で69歳まで加入できるよう改正。10月には企業型DC加入者であっても原則としてイデコに加入することが可能に。

さらに、2024(令和6)年12月からは、確定給付年金等の企業型DC以外の制度に加入する者の企業型DCの拠出限度額が引き上げられます。

現在2024年12月〜
企業型DCのみ月額5.5万円月額5.5万円
企業型DC+
DB等の他制度
月額2.75万円月額5.5万円一
DB等の他制度掛金相当額

まとめ

このように、優遇され利用しやすいように変更が行われている企業型DCでせすが、こうした流れをうまく掴んでいない企業型DC加入者もいます。
運営管理機関連絡協議会の「確定拠出年金統計資料」によれば、企業型DCで元本確保型商品のみで運用する加入者の割合が2022年3月末時点で29.1%と10人に3人は安全志向という結果がでています。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、当初は世界的に経済活動が停止に追い込まれ、アメリカ株式が「弱き相場入り」となるなど、先行きに対する強い不安がありましたが、各国で大規模な財政政策や金融緩和政策を打ち出したことにより安心感が広がり、株式市場は急速に回復しています。

元本確保型商品を選択する理由には、「定年が近づいたためリスクを抑え商品に替えていく」というケースも考えらますが、その多くは過度な安全志向、投資や金融商品に対する知識不足や無関心によるものも多いと考えられています。

せっかく、企業型DCに加入していても、元本確保型商品のみで運用した場合は、リスクを取って運用する加入者の給付額を大きく下回る可能性は高いでしょう。

これからを生きる社会人は、「仕事だけ」を頑張るのではなく「金融に対する知識」を身につけることも必要になりそうです。

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ミスター長男50

【プロフィール】

1969年(昭和44年)生まれ
富山県で生まれ、今は千葉県民
・仕事は病院事務(管理職)
・社会保険労務士
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)
「仕事」や「お金」に関する法改正や、(定年)退職後や資産形成に関する疑問などを分かりやすくまとめ、発信していきます。

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