病気やケガで働けなくなったときに備え貯金しておく必要がありますが、民間の保険商品に入るのも一つの方法です。
働けない期間を保障する保険商品としては、「所得補償保険」や「就労不能保険」があり、どちらも病気やケガで働けなくなったときに保険金が支給されますが、所得補償保険は「損害保険会社」が発売・保険金の支払いは「短期間」。
就労不能保険は「生命保険会社」が発売・保険金の支払いは「長期間」など違いがあります。
なお、2つとも年末調整の保険料控除の対象です。
今回は、「所得補償保険」「就労不能保険」と、名前は似ているが役割が全く違う「収入補償保険」について、まとめてみます。
所得補償保険の特徴
所得補償保険は、「傷病手当金」の役割
病気やケガで就業不能となり、その状態が1〜2年間続くときの収入減に備える「短期補償タイプ」の保険商品で損害保険会社が販売しています。
「傷病手当金」の代わりとなるような保険です。国民健康保険に加入し傷病手当金が支給されない「自営業者」や「フリーランス」が加入を検討する保険商品です。
所得補償保険の特徴
① 保険期間:1〜2年で更新していくタイプが多い
② 免責期間:就業不能から「7日間程度」と短いものが多い
③ 保険金:月収の50〜70%程度で設定
④ 保険料:年齢や職業(リスクが高い職業は保険料が高い)、受取る保険金額などにより決定
⑤ 更新の都度、年齢が上がるに伴い保険料も上がる
就業不能保険の特徴
就業不能保険は、「障害厚生年金」の代役
生命保険会社が販売している保険商品で、所得補償保険と保障内容が似ていますが、所得補償保険とは異なり、病気やケガで「寝たきり」などの就業不能となり長い間収入が見込めなくなったときに備える「長期補償タイプ」の保険です。
こちらの保険に加入を検討した方がいいと思われる人も、厚生年金保険に加入していない、「自営業者」や「フリーランス」になります。
就労不能保険の特徴
① 保険期間:「60歳満期」や「70歳満期」など年齢で設定
② 免責期間:60日〜365日間と長い
③ 保険金:職業や年収に応じて上限を設定
④ 保険料:年齢や性別、受け取る保険金額などにより決定
⑤ 契約時の保険料が、変わらずに続く
【注意】保障されないケースもある!
うつ病は保障されないケースが多い
所得補償保険・就業不能保険とも、故意や重大な過失、違法行為などが原因で就業不能になった場合には、保障されません。
また「うつ病」「ムチウチ症」「腰痛」などの医学的な所見のない就業不能についても、多くの保険会社が支給の対象外としています。
契約前には、「保険金が支払われない病気は何か?」を十分確認してください。
名前が似ているが全く別物、「収入保障保険」
収入保障保険は保険料が「お安い」生命保険
生命保険会社が取り扱っている保険で、収入保障保険があります。
これは、毎月一定額の死亡保険金が年金形式で支払われる、定期型の死亡保険です。
収入保障保険は、保険期間が経過するごとに受け取れる保険金が減少していくため、一般的な死亡保険より保険料がお安く設定されおり、被保険者が死亡または高度障害状態になったときに、毎月一定額の死亡保険金を年金形式で受け取とるのが一般的です。
なお、保険金は一括で受け取ることもできます。
しかし、年金形式で受け取るより受取額が少なくなる場合が多いので、注意⚠️してください
保険料は掛け捨て型ですので、保険期間が終了するまでに何事もない場合においては、すでに支払った保険料が戻ってくることはありません。
保険期間が過ぎていくと、受け取る保険金も減っていくなら、保険の契約が切れる頃にはほとんど貰えないってことなの?
保険期間満了日近くに死亡・高度障害状態になっても、最低保証分の年金(保険金)を受け取ることができます。
そのために、保険期間満了まで残り1ヶ月被保険者が死亡などとなった場合でも、最低保証分は受け取ることができます。
でも、保険期間が少なくなれば、受け取れる保険金は少なくなるってことか…
子どもの「大学卒業まで」など保険期間を定められれば、死亡保険より保険料が安く抑えられていいかもね。
でも、受け取りが年金方式だから、自分が死亡した後に「まとまったお金」を残したい人には不向きだね。
収入保障保険は、保険期間の経過により受け取れる保険金の総額が減少することになるため、一般的な死亡保険より保険料が安いことが、この保険の最大のウリになります。
また、保険期間の終了間際においても最低保証分の保険金を受け取ることができるのもメリットの一つです。
「所得補償保険」「就業不能保険」「収入保障保険」の違い
所得補償保険と就業不能保険、そして収入保障保険の違いをまとめてみました。
また、病気やケガで被保険者が受け取る保険金に税金はかかりません。そのために、所得補償保険と就業不能保険の保険金はは非課税ですが、被保険者が死亡した場合に配偶者が受け取る収入保障保険には、相続税が課税される点にも注意が必要です。
| 保険金が受け取れる状態 | 保険金の支払期間 | 保険の目的 | 取り扱う保険会社 |
---|---|---|---|---|
所得補償保険 | 病気・ケガ | 1年、2年など短期間 | ケガや病気で働けなくなった場合の収入減少を補う | 損害保険会社 |
就業不能保険 | 病気(精神疾患含む)・ケガ | 60歳、70歳までなど長期間 | 生命保険会社 | |
収入保障保険 | 死亡・高度障害 | 本人に万一のことがあった場合の遺族の生活費等を補う |
まとめ
自営業やフリーランスには加入を考えるべき保険
会社員や公務員が、病気やケガで就業不能となったときは、「有給休暇」や「傷病手当金」がありますが、自営業者やフリーランスの人は「働けない=すぐ無収入」というリスクがあります。
そのため、会社員以上に自分の貯金に見合った「所得保障保険」や「就業不能保険」への加入を検討する必要があります。
収入保障保険は、保険料が安く、被保険者が死亡・高度障害状態となってしまったとき遺族が保険金を受け取る保険であるため、子育て中の世帯の人は加入を検討してみるとよいでしょう。
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