住宅ローンの変動型金利「2つ」のルールを再確認

資産運用

変動型金利の「5年ルール」と「125%ルール」
令和4年、新型コロナによるパンデミックやウクライナ戦争の影響で、世界各国が物価の上昇(インフレ)に悩まされています。

欧米では、インフレを抑えるために、急ピッチで利上げを行い政策金利が上昇していますが、日本は、低金利政策を当面維持されることが決定されており、欧米と真逆の政策になっています。
そのために、円安が急激に進んでおり日本経済に悪影響が出始めています。

そこで気になるのが、日本銀行はいつまで「低金利政策」を維持するのか?
それは、金利政策の変更はローンの金利の上昇に繋がるかもしれないかもしれないからです。

今回は、変動型の金利の2つのルール「5年ルール」「125%ルール」についてまとめてみます。

令和4年12月20日、日銀がサプライズで金融緩和政策の修正を発表

日銀は長期金利「0%」を達成するため、金利の変動幅の上限をプラスマイナス0.25%から0.5%へ引き上げました。なお、長期金利とは、10年国債の利回りのことを指します。

国債の金利は、日銀が債券市場で国債の買い入れを増やせば下がり、減らすと上がるため、今回のサプライズにより「住宅ローン」はどうなっていくのかが気になります。

結論から言えば「固定型」の新規契約はすこし金利が上がり、「変動型」にはほぼ影響なし。
政策金利に変更がなく、変動幅の引き上げ率が「0.25%」と小幅であったため、住宅ローン金利は急上昇しないと考えられます。

「変動型」の適用金利の見直しは年2回

慌てず、まずは自身の収入や支出の状況を正確に把握することが大切

変動金利型の住宅ローンを取り扱っている多くの金融機関等では、半年ごと(大半が4月と10月)に、適用金利の見直しを行なっています。
なお、見直し後の金利が適用されるのは、翌々月からです。

しかし、毎月の返済額が「半年ごと」とはいえ、毎回のように金利が変更したり、急激に上昇したりすると、計画的な返済が難しくなってしまします。
そこで、元利金均等払いの変動型金利には、「5年ルール」「125%ルール」によって、返済額の変動を抑え、家計への影響を少なくしています。

「5年ルール」とは?

もし、適用金利の見直しが行われたとしても、毎月の返済額は5年ごとに変更する、というルールです。
適用金利が上がっても、毎月の返済額は5年間変更がないため、家計への影響が抑えられます。
しかしながら、当然住宅ローンを返済期間中に完済する義務は免れませんので、注意が必要です。

適用金利が変更されても返済額は「5年ルール」により5年ごとにしか変更されませんが、毎月の返済額に占める利息部分の割合は増えることになります

返済額に占める利息割合が増えれば、元金の返済割合が減りますので、返済できていない元金部分はローンの最終盤に不足する元金分の返済が求められます。

「125%ルール」とは?

変動金利は、適用金利に変動があったとしても、上記の「5年ルール」により、すぐに返済額が変更されることはありません。5年ごとの適用金利の状況によって、返済額の見直しが行われます。
「125%ルール」とは、そのとき金利が急上昇していたとしても、新しい返済額は直前の返済額の125%までとするルールです。

毎月の返済額が10万円だった人ならば、金利変更後の新たな返済額の上限額は、「125%ルール」が適用され12万5千円までとなります。

「125%ルール」により毎月の返済額を低く保つことができますが、「5%ルール」と同じくローンの返済期限に不足する元金分の返済が求められます。

「5%ルール」も「125%ルール」も毎月の支払いを低く抑えてくれますが、支払期限までローンを払い続けても元金が残ってしまい一括で返済しないといけなくなるリスクががあります。

「5年ルール」や「125%ルール」のリスクについて

「5年ルール」や「125%ルール」により、毎月の支払額は、5年ごとに125%しか上がりません。
しかし、適用金利は6ヶ月ごと見直されているため、毎月の返済額の中で元金部分と利息部分が調整されています。
「5%ルール」「125%ルール」も、「負担を先送り」にしているだけなので、金利の上昇が続いた場合は、返済額に占める利息の割合が多くなります。

結局、「しわ寄せ」は後からズシリと来る

2つのルールは「急激な変化」を抑制するための仕組みであって、「総返済額を減らす」「返済期間を延長する」仕組みではありません。

借換えの目安は、「1,000万円、10年、1%」

住宅ローンの借り換えは慎重に!

これから住宅ローン金利が上昇かもしれないなら、「変動型」から「固定型」に変えればいいだけじゃない。

こんな風に考えている人も多いと思いますが、一般的に、住宅ローンの借り換えは、残債が1,000万円以上返済期間が10年以上金利が1%以上変動したときにメリットがあると言われています。

住宅ローンの借り換えを行うと借り換えに係る諸費用(手数料)が必要になります。
銀行によって違いはありますが、定率型だと借入金額×2.2%の手数料が必要になりますので、たとえ毎月の支払額が下がっても支払総額が高くなる可能性があるので注意⚠️が必要です。

しかも、固定型への借り換えの見極め(タイミング)は至難の業!
変動金利は日銀の金融政策によって、上下しますが、固定金利は市場の状況によって上下するため、変動金利より先に動き出します(現に住宅金融支援機構のフラット35の金利は、ジワりと上がり出しています)。
そのために、いざ固定金利に切り替えようと思っても固定金利はすでに上昇してしまっている可能性があるのです。

住宅ローン金利は、変動型より先に固定型が変更されます。
そのため、「変動型の金利が上がったら固定にすればいい」という考えは、通用しません。

変動金利を利用している人は、その特性やリスクを理解し、金利が上がった時には、「繰上返済をする」などキャッシュを貯めるなど対策することが大切です。

まとめ

固定金利への借り換えは難しい
変動金利には、「5%ルール」と「125%ルール」という家計への影響を抑える仕組みがあります。
しかし、このルールは、元本の返済を先送りにしているだけなので、金利の上昇には注意が必要です。
変動金利は日本の「超低金利政策」によって、低く抑えられていますが、今後は金利上昇も想定して対策を考えておくことは重要です。

参考:どうなる金利⁉️「変動型」の住宅ローンは、「固定型」に借換えるべきか?

対策として考えられるのが、「繰上げ返済」
繰上げ返済とは、毎月の支払額とは別に元金の一部を返済する方法です。この方法であれば金利下降の可能性を残しながら、金利負担増加のダメージを最小限に抑えることが可能です。

一方、金利上昇が「長く続く」と考える人は、いっそ「固定金利へ借り換える」のも住宅ローンの煩わしさから解放される一つの手段になります。

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ミスター長男50

【プロフィール】

1969年(昭和44年)生まれ
富山県で生まれ、今は千葉県民
・仕事は病院事務(管理職)
・社会保険労務士
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)
「仕事」や「お金」に関する法改正や、(定年)退職後や資産形成に関する疑問などを分かりやすくまとめ、発信していきます。

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