「夫婦で住宅購入」はペアローンが有利⁉️購入前に知っておきたいポイントについて

資産運用

2022(令和4年)年以降、新たに「住宅ローン控除」を利用する人の控除率は0.7%、控除期間は13年間(既存住宅および増改築は10年間)です。

この住宅ローン控除を上手に利用するため、「共働き世帯」がマイホームを購入する場合では、夫婦共同で住宅ローンを支払う「ペアローン」を利用する世帯が増えています。

夫や妻が単独で住宅ローンを組むより、ペアローンの方が高額の借り入れが可能となり、それぞれが住宅ローン控除を受けられるなどのメリットがあるためです。
しかし、「出資」と「所有権」の割合が違っていると、贈与税が発生することも。

今回は、夫婦で住宅を購入する場合の「住宅ローンの借り方」やそれぞれの「メリット・デメリット」についてまとめてみます。

夫婦で住宅ローンを借りる、「2つ」のタイプについて

何事にも、メリットがあれば、デメリットがある

「ペアローン」と「収入合算」
ペアローンとは、夫婦がそれぞれに借りる住宅ローン。それぞれの収入に応じた金額の融資を受けることができ、金利タイプや返済期間を個別に決めることができます。これに対し「連帯債務」「連帯保証」は夫婦の収入を合算して融資を受け、夫婦どちらかが主債務者、もう一方が連帯債務者または連帯保証人になります。


今までは、夫か妻が単独名義でローンを組むスタイルが一般的でしたが、夫婦共働きが増える中、住宅ローンも二人で借り入れるスタイルが増えています。

夫婦で住宅ローンの借入を行う場合の借入方法には、「ペアローン」か「収入合算」という方法があり、「収入合算」には「①連帯債務」、「②連帯保証」という2つの方法があります。

夫婦で住宅ローンを借り入れる方法には、
「ペアローン」
「収入合算」があります。
さらに「収支合算」には、
・「①連帯債務」
「②連帯保証」という2つの方法を選ぶことができます。

参考:住宅ローンの変動型金利「2つのルール」を再確認

ペアローン

夫婦それぞれが住宅ローンを契約
ペアローンは、夫婦それぞれが別々の住宅ローン契約を結びます。夫も妻もそれぞれが債務者となり、さらにお互いがお互いの連帯保証人になります。
購入した住宅の所有権は、出資した割合(住宅ローンを組んだ割合)がそれぞれの持分となります。

メリット

一番のメリットは、借入額を増やすことができること。
夫婦それぞれが契約者となるため、それぞれが負担する金額に応じて住宅ローン控除を受けることもできるので、節税効果も期待できます。

団体信用生命保険(団信)にも、夫婦それぞれが加することがるので、夫に「万が一」のことがあった場合には、夫のローンは完済され妻のローンが残ります。妻に「万が一」のことがあった場合には、妻のローンが完済され、夫のローンが残ることになります。
なお、それぞれが団信に加入すれば、生命保険を節約することができるかもしれません。

デメリット

夫婦それぞれが住宅ローン契約を結ぶため、事務手数料も2人分となります。 
なお、事務手数料の金額は、借入金額に対する割合で金額が決まるタイプの計算式は「借入金額×2.2%(税込)」です。

それでは、夫婦それぞれ3,000万円の住宅ローンを組んだときの事務手数料を上記の計算式を使って計算してみましょう。

【計算式】
事務手数料=借入金額×2.2%(税込)です
・3,000万円✖️2.2%(税込)=66万円 
・66万円✖️2=132万円
夫婦2人分の事務手数料は、132万円になります

また、「退職リスク」もあります。
どちらか一方が病気やケガ、もしくは子育てなどで退職し収入が無くなってしまうと、月々の収入に対する住宅費の支払いの割合が重くなり、生活を圧迫してしまいます。

収入合算

夫婦の収入を合算して多くのローンを借りる
「収支合算」は、ペアローンと同じくそれぞれの収入を合算して高額な住宅ローンを借りることができますが、夫婦それぞれで住宅ローンを組むのではなく、夫婦のどちらか1人が借り入れを行う住宅ローンです。
そのため事務手数料は1本で済み、借り換え時も主債務者が審査に通ればローンを組むことはできますが、団信へは主債務者しか加入することができません。

「収支合算」には、「① 連帯債務」「② 連帯保証」の2種類があります。

① 連帯債務

・夫妻のどちらかが「契約者」となり、一方が「連帯債務者」 夫婦で借りる住宅ローンのイメージ
・住宅の名義は、ペアローン同様、それぞれの出資割合を持ち分として「共有名義」が一般的
・フラット35を利用したときは、自動的に連帯債務
(メリット)
・夫婦の収入を合算して審査するため、1人より高額な借り入れが可能
・契約者は1人のため、事務手数料も1人分
夫婦が負担割合に見合った住宅ローン控除を受けることが可能
(デメリット)
・契約者と同じ立場であるため、いつでも返済請求を受ける
・団体信用生命保険(団信)への加入は「契約者のみ」となるのが一般的

② 連帯保証

・連帯保証はあくまでも1人(夫または妻)の住宅ローン
・契約者が債務者が履行不能となった場合に初めて、返済請求を受ける
(メリット)
・配偶者の年収の一部を収入合算するため、借入額を増やすことができる
・契約者は1人のため、事務手数料も1人分
(デメリット)
住宅ローン控除は、契約者のみ受けることが可能
・団体信用生命保険への加入は「契約者のみ」となるのが一般的

ここできちんと理解しておきたいのが「連帯債務」と「連帯保証」の違いです。
「連帯債務」は主債務者と同等の返済義務を持つため住宅ローンを支払っていると見なされ、連帯債務の割合に応じて住宅ローン控除の適用を受けることができます。
連帯債務者はお金を借りた主債務者と同じ立場ですから、いつでも、住宅ローンの全額を借入先から返済請求される可能性があります。

これに対して「連帯保証」は債務者ではないため住宅ローン控除の対象外で、主債務者の支払いが滞るまで返済を請求されることはありません。

ペアローン連帯債務連帯保証
仕組み夫と妻が別々に住宅ローンを借りる夫婦の収入を合計して一本の住宅ローンを借りる
主債務者夫と妻夫もしくは妻のどちらか1人
(ただし、連帯債務の場合は妻(もしくは夫)にも返済請求の可能性あり)
事務手数料2人分1人分
住宅ローン控除借入額や持分割合に応じて、夫も妻も受けられる主債務者のみ
団体信用生命保険(団信)夫と妻がそれぞれ団信へ加入可能主債務者のみが団信へ加入可能

夫婦共有名義で住宅を所有する場合の注意点

「贈与税」に注意!
夫婦で住宅ローン契約を結ぶ場合、高額な住宅ローンの借入れができたり、それぞれが住宅ローン控除の適用を受けられるなどのメリットがある反面、気をつけたい点もあります。

不動産を取得したときには、登記が必要になります。
夫婦が共同で出資して住宅を購入した場合の登記は「持分」は、その住宅に出資した割合に応じて、夫婦それぞれで登記することになり、夫婦が自由に決められるわけではありません。

出資していないのに共有名義にしたり、出資した額以上の割合で登記すると「贈与」とみなされ、贈与税がかかる場合があるので、 持分割合を決めた際には、正しく所有権登記をする必要があります。

まとめ

メリットとリスクのバランスは適当か⁉️
ペアローンや連帯債務などで住宅ローンを利用すると、高額な住宅ローンを組むことができるうえに夫婦で住宅ローン控除を受けられるなどのメリットはありますが、住宅ローン返済中に夫婦のどらかが仕事を辞めると返済が厳しくなるというリスクもあります。

参考:金利が上昇したら「変動型」住宅ローンから「固定型」に借換えれるのか?

また、住宅を夫婦共有名義にしておくと、どちらかが死亡し相続が発生した場合にはそれぞれの持ち分が「課税対象財産」になるので、単独名義とした場合より相続税が節税されるというメリットがありますが、婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、非課税で住宅を2,000万円(その年の基礎控除を含めると2,110万円)まで非課税で贈与することができるため、必ずしも共有名義が有利とは言えません。

ペアローンなどを利用すると、資産価値の高い住宅を購入できるメリットはありますが、デメリットもあるため、慎重な検討が必要です。


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ミスター長男50

【プロフィール】

1969年(昭和44年)生まれ
富山県で生まれ、今は千葉県民
・仕事は病院事務(管理職)
・社会保険労務士
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)
「仕事」や「お金」に関する法改正や、(定年)退職後や資産形成に関する疑問などを分かりやすくまとめ、発信していきます。

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