金利が上がったら「変動型」住宅ローンは「固定型」に借換えた方が得なのか?

資産運用

米国の中央銀行は、インフレ抑制を目的に急ピッチで金利の引上げを行いましたが、日本では、低金利政策を維持。その結果、米国との金利差が広がっています。

投資家にしてみれば金利の高いドルを買って運用・投資しようと考えるため、ドルが買われ「ドル高・円安」が進んでいます。

日本でも低金利政策を見直す方向にあるため、住宅ローンを組んでいる人は毎月の負担が増える可能性があります。

今回は、住宅ローンを「変動型」から「固定型」へ変更時の注意点や、金利上昇局面での備えなどについて、まとめてみます。

令和4年12月20日、日銀が金融緩和政策の修正をサプライズ発表

容認する10年国債の金利(長期金利)を0.5%にまで引き上げ

金利が上がれば株価低下。この日の東証は発表のあった午後から株価が急落⤵︎

2016(平成28)年9月より、日銀は大規模金融緩和策の一環として、10年国債利回りの上限を0.25%としていましたが、この上限が「0.5%」へ引き上げられると発表されました(令和4年12月現在)。

今までは長期金利の利回りが「0.25%以上」になったら市場で買い入れていたものを、これからからは「0.5%以上」と、今までより0.25%の金利の上昇を認める形になりました。

さらに、2023(令和5)年7月28日、日銀は最新の金融政策運営方針を発表。
昨年12月に修正した金融緩和政策を一部をさらに修正し、現行「▲0.5%〜+0.5%」と定めてきた長期金利(10年国債利回り)の変動幅を、最大1.0%まで拡大することが発表されました。

金融緩和政策の一部修正により、新規に住宅ローンを組む時にあたえるの影響は、
「固定型」の金利は少し上昇
「変動型」は、金利政策に変更がないため、変動はない
と予想されます。

「変動型」と「固定型」の金利の決まり方

住宅ローンの「変動型」金利は、日本銀行が民間銀行に融資するときの金利、いわゆる「政策金利」の影響を受けています。
「変動型」の住宅ローンが超低金利になっているのは、日本銀行の金融緩和政策(マイナス金利政策)のおかげです。

一方、「固定型」の金利は、市場の「10年国債の流通利回り」が影響します。
債権価格が上昇すると金利が低下、債権価格が下落すれば金利が上昇するので、「債券の価格」と「金利水準」は反比例の関係にあります。

ローンの種類 決定者 主に影響を与えるもの
変 動 型日 銀政策金利(短期プライムレート)
長 期 型市 場10年国債の流通利回り

金利の上昇は「固定型」からはじまる!

「変動型」で住宅ローンを借りている人の中には、「金利が上がりそうな局面になったら、固定型に借換える」というプランを考えている人もいると思います。

しかし、変動型から固定型に借換えるプランは、早く決断しないと、手遅れとなってしまう可能性が大です。それは、一般的に金利は「固定型」から先に上昇するためです。

投資家は、将来の市場の動きを予想して債権の売買を行います。
債券市場で「金利の上昇」は、「債権価格の下落」を意味します。
「債券が下落しそう(金利が上がりそう)」と感じた投資家は、債権から株式等へ資金を移動しようとするため債権を売却するので、債券価格は下落し金利が上昇。結果として、住宅ローンの固定金利が上昇すること、になるのです。

住宅ローン金利は、日銀の政策で決定する「変動型」より、市場で金利が決まる「固定型」の方が先に動きます。
そのため、政策金利の上昇が決定したときには、すでに固定金利が上昇してしまっている可能性が高いのです!

「固定型」への借換えを考えている人は、早く決断・行動することをお勧めします。

「固定型」への借換え時の注意点

借換えの目安は「1%、10年、1,000万円」
一般的に、住宅ローンの借り換えは、残債が1,000万円以上で返済期間が10年以上、金利が1%以上低くなるときにメリットがあると言われています。

「将来の金利上昇の不安からの解放」を望むなら、「変動型」から「固定型」への借り換えるは一つの手ではありますが、多くの場合で返済額は増えることになりそうです。
それでも、借り換えを希望するならば、いま住宅ローンを借りている銀行に相談してみると良いでしょう。同じ銀行で借り換える場合「手数料」が安くなることがあり、総返済額を抑えられる可能性があるからです。

「固定型」への切替は、切り替えることによって得られる「安心感」と、借り換えに伴う総支払額の増加が「許容できる範囲なのか」が重要なポイントです!

「変動型」2つのルール確認

なお、「変動型」には、毎月の支払額が、5年ごとに125%しか上がらない「5年ルール」と「125%ルール」により、支払額の上昇に限度が設けられています。

5年ルール
適用金利の見直しが行われたとしても、返済額は5年ごとに変更するルールのこと
125%ルール
金利が急上昇しても、新しい返済額は、直前の返済額の125%までとするルールのこと

このルールが適用されている間に、毎月の家計の固支費(保険料やスマホ代など)を見直し、貯蓄を増やすことができれば、「繰上返済」により元本を減らすことができます。
元本が減れば、金利負担増加のダメージを最小限に抑えることが可能となります。

参考:住宅ローンの変動型金利「2つのルール」を再確認

まとめ

「借換え」より「繰上返済」
住宅ローンを変動型で組んでいる人のなかで、「金利が上がって返済額が増えたら、固定型に借換える」と考えている人は、すでに「手遅れ」である可能性があります。
「固定型」は「変動型」の金利より早く上昇しているため、借り換えに係る諸費用などを合わせるとトータルの支払額が高くなる可能性があるためです。

参考:「夫婦で住宅購入」はペアローン一択⁉️住宅購入前に知っておきたいポイントについて

今後「変動型」の金利が大幅に上昇すると予想する人は、「繰上返済」で元本を減らし、金利上昇のダメージを和らげることをおすすめします。


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ミスター長男50

【プロフィール】

1969年(昭和44年)生まれ
富山県で生まれ、今は千葉県民
・仕事は病院事務(管理職)
・社会保険労務士
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)
「仕事」や「お金」に関する法改正や、(定年)退職後や資産形成に関する疑問などを分かりやすくまとめ、発信していきます。

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